算数や数学といえば、公式。
便利ですよねー
ただ、わたしは教えるときは公式は封じます。
なぜなら、それで算数や数学ができなくなる子どもが多いためです。
どういうことなのでしょうか。
めちゃくちゃ簡単な例――「n角形の対角線の本数」で説明していきます。
腕が悪い先生の教えかた(一般的な教えかた)
腕が悪い先生は、どのように教えるのでしょうか。
まずは、nという文字を使って、なぜ「n(n-3)/2」(対角線の本数を出す公式)になるのかの説明をします。
※割愛します。
そして――。
対角線の本数の公式はこれ!
「n(n-3)/2」
たとえば、五角形だとn=5ということなんだ。
「5×(5-3)/2」となるから、5本が答え!
使い方はわかったかな? しっかり覚えてね!
では、練習問題を解いてみよう!
(1)6角形の対策線の本数
(2)12角形の対策線の本数
(3)29角形の対策線の本数
このように教わったかたも多いと思います。
これの何が問題なのでしょうか。
計算の練習問題を解いているに等しい!
先ほどの教えかただと練習問題は文字に数字をあてはめる練習――すなわち、代入の練習になっています。
(例)6角形の対策線の本数 → 「n(n-3)/2」に「n=6」を代入する練習!
代入のところでしっかり練習したはずなのに、また練習するわけですね。無駄、無駄、無駄!
これが1つ目の問題です。
2つ目の理由は、このような教えかただと算数や数学の思考がまったく鍛えられていないためです。
これについては後述します。
ちなみに、すでに算数や数学的な思考ができる、算数や数学が得意な子どもたちには、この教えかたのほうが効率的です。が、練習問題は時間の無駄です。
「nという文字を使って、なぜその公式になるのか、ザッと説明」だけで十分です(それで出来ないようなら得意ではない!)。
算数の思考を、何度もトレースさせる!
では、わたしは子どもたちにどのように教えたのでしょうか。
算数の思考を、何度もトレースさせました。
まずは、以下。
・五角形を描いて、それぞれの頂点に記号をふる(ア~オとします)
・「アから対角線を引いてみて」と対角線を描かせる
・「対角線は何本引ける?」と考えさせる
(以下、省略)
要は、以下の法則を自分で見つけさせたわけですね。
・1つの頂点に着目。その頂点、および両隣の頂点には線を引けない~(省略)~
・それぞれの頂点でも同じように考えられる(かければいい)
・重複をとる(割ればいい)
つぎに、練習問題ですが、これと同じ手順で解かせました(公式は教えない!)。
(例)六角形の問題 → 1つの頂点から、その頂点、および両隣の~(省略)~
→練習問題では、これを繰り返させた!
「いちいち、繰り返して無駄じゃないの?」
腕が悪い先生は、そう考えるでしょうね 笑
なぜこれを繰り返させるのか、聡明なかたはお気づきでしょう。
「場合分け」「それぞれについて考える」という、算数や数学の基本的な考え方を身につけさせるために繰り返させたわけです。
算数や数学の思考を何度もトレースさせることで、身につけさせたわけですね。
参考書は、公式に代入する方法をていねいに解説したほうが売れる
実のところ、参考書は、公式に代入する方法をていねいに解説したほうが売れます。だから、大多数のひとは算数や数学ができないまま。教育は相対速度なので、その分、うちの子どもたちが爆速になっています(難解な受験算数で飛び級できているのも、これが理由の1つだと思います)。
ちなみに、公式を否定しているように感じるかもしれませんが、算数の思考ができるようになれば公式を教えます。「はじき」はバリバリ使わせています(「くもわ」はクソ)。
コメント