算数や数学の先取り学習といっても、 (大雑把に分類しても)つぎのものがあるので、何を教えればいいのかわからないかたもいるようです。
<算数>
・計算問題
・教科書レベル
・中学受験の算数
※いわゆるパズル・思考力系問題はこの記事では扱っていません。
<数学>
・計算問題
・教科書レベル
・高校受験の数学(とはいえ、教科書レベルの延長線上)
そこで、「何を先取り学習すればいいのか」について書いてみました。
算数と数学の難易度
算数と数学の難易度です(適当です)。「偏差値」とあるのは中学受験、「教科書」は教科書レベル、「計算」は計算問題です。
※受験算数の偏差値は四谷大塚のものです(適当です)。
計算問題
計算問題は、算数や数学の土台になります。
また、難易度も低いので、教育に携わったことがないかたでも(※)、かんたんに先取り学習できます。
※公文式に通わせるのも手ですが、効率や効果、コスパは良くないです。親が教えるほうが良いと思います。
というわけで、まずは算数。
効率よく教えれば、3か月もあれば小6までの計算問題を教えることができます(年長の娘でも実証済)。
その先ですが、ある程度までは「素早く解けるようにする」などと計算の訓練をしてもいいとは思いますが、中学受験まで先が長いです。計算力を維持する手間暇を考えると、計算力を鍛えるのはほどほどにして、教科書レベルの先取り学習をしたほうが効率的かつ効果的だと思います。
つぎに数学。
未就学児でも計算問題だけであれば、中学数学まで教えられると思います。年長でも、売買損益の計算ができるわけですから。
時間が余っているのならば先に進めてもいいとは思いますが、中学受験を考えている場合は効率は悪いと思います。
(例)中学受験の算数でも、方程式や連立方程式を使うことがあります。しかし、マイナスの処理をしなくてもいいようになっているので、すぐに習得させることができます(小2で実証済)。
一方、数学の計算問題では、マイナスの処理など、中学受験ではでてこない勉強がかなりあって、時間がとられます。
つまり「無駄になるわけではないが、数学を教えるのに手間暇がかかる。その時間で遊んであげたほうがいいのではないか」ですね。
※ちなみに、徹底的に効率と効果を追求する場合は、数学の計算問題を教えると受験算数の効率を悪くするので (これを理解できるのはプロといえども、ごく一部だと思います) 、数学の計算問題は教えないほうがいいと思います。が、ふつうはそこまで追求できないものなので、「時間が余っていて暇で仕方がないなら中学数学の計算問題は習得させる。そうでないなら小6までで終わらせる」ですね。
ちなみに、公文式の場合、進度に目を奪われて「小学生なのに高校数学!」みたいなかたもいるようです。いくら計算問題を先取り学習したところで、すぐに追いつかれますし、偏差値40~50の学校にしか入ることができません。
教科書レベル
市販のドリルや、算数・数学検定ですね。
まずは、算数。
小6まで先取り学習したところで中学受験の準備くらいにしかなりません。が、かんたんに先取り学習できますし、中学受験の土台になるので、暇な低年齢のうちに先取りしておいて損はないと思います。
つぎに、数学。
低学年の小学生にとっては、教科書レベルとはいえ、数学からは難易度があがります。また、算数と数学は解法がちがうので、中学受験の算数に悪影響を及ぼす可能性があります(詳しくは後述しています)。
計算と教科書レベルで、つまづく場合(算数)
低年齢でも、計算と算数の教科書レベルの先取りはかんたんです。
裏を返せば、計算と教科書レベルは、かんたんに追い抜かれる程度のもの、ということになります。
それなのに、ここで、ひっかかる場合は、塾や教材ではなく、子どものやる気などに問題があるのではないかな、と思います。
子どもはロボットではないので、嫌がるのに公文式という苦行を押しつけたり、タブレットで自動でインプットしようとしたりするのは、逆効果だと思います。
ちなみに、うちの年長の娘は、やる気を引き出すことをメーンにしていました。
相当苦労しましたが、ようやく「まだ足りないけど、すこしはまともに勉強するようになったな」と思うようになりました。
すると、もう予習シリーズ5年上の第8回「売買損益」です。
もちろん完成度は小5にはとても及びませんが、基本問題であればサクサク解きます。
中学受験の算数の先取り学習
グラフからわかるように、計算問題や教科書レベルと比べて、相当なレベル差があります。
低年齢で計算問題や教科書レベルの先取り学習ができるようになったからといっても、受験算数を進められるわけではありませんし、ましてや難関中に合格できる素質があるわけでもありません。
また、つぎのように相当な熱意のあるかたではないと中学受験の算数を教えるのは難しいと思います。
・親が子どものやる気を引き出す
・親が教えかたを学ぶ(高学歴だからといって、うまく教えられるわけではない! 「知っていること」と「教えること」は別次元のもの!)
ちなみに、親塾で受験算数の先取り学習をする場合、「予習シリーズ」が定番のようです。
ただ、予習シリーズはあくまで塾の授業で使うもので、先取り学習のために制作されているものではありません。一例をあげると、「算数が得意な子は授業で暇だろうな。応用問題を解かせてみよう」みたいな感じで使われていると思われるので、その時点では解けなくても良い応用問題も混じっています。
で、「どの問題は飛ばして、どの問題を解けばいいの?」「うちの子どもは、まるでできないんだけど、ほかの子どもはどうなんだろう?」という疑問に答えるために、「中学受験を攻略」に子どもたちの進度をまとめています。予習シリーズを使おうと考えているかたは、ぜひ、ご覧になってください。
数学の教科書レベルの先取り学習
算数と数学は解法が異なります。
で、小さな子どもは算数の解法は大丈夫でも、数学の解法だとなかなか習得できないようです(小2、年長で確認)。
また中学受験では、算数の解法ではないと解きにくい問題が中心です。わざわざ数学の解法で解きにくいようにしているようです。
そして、数学の解法が身につくと、なかなか算数の解法が身につきません。たとえば「算数の解法だと一瞬で解ける問題も、xと置いて強引に計算で解く」ような感じになってしまいます。
というわけで、中学受験を考えているのならば、中学数学の教科書レベルの先取り学習はお勧めできません。
ただ、受験算数が一通り終わって算数の解法を身につけたあとだと、数学の教科書レベルの先取り学習をはじめても大丈夫ではないか、解法の幅が広がっていいのではないか、と、わたしは考えています。
ちなみに、中学受験をしない場合、算数と数学の計算問題、算数の教科書レベルの先取り学習は有効だと思いますが、中学数学の教科書レベルは無理をして先取り学習をする必要はないと思います。 高校受験まで先が長いですから。
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