「公文式」と「中学受験の算数」は別物といっても過言ではないことを、算数が苦手なかたに向けて書いてみました。
公文式で学習する内容
公文式では、つぎのように難易度をあげていくのではないでしょうか。
<導入>
8×□=6などから割り算の方法を導くのですかね。もしくは「18÷2=9 → 2×9」のようにしているのでしょうか。
(難易度1)6÷3=
(難易度2)24÷6=
(難易度3)320÷4=
(難易度4)4800÷6=
(難易度5)540÷90=
公文式のわり算とは、「九九を暗記して使いこなす。頭はほとんど使わない。作業の手順を覚えるだけ」です。
中学受験の算数の内容
※よく「深度」という言葉が使われていますが、言葉の定義があいまいなので、ここでは「いろいろな角度で考える → 深く考える → 深度」としています(以下を読めば、わり算をいろいろな角度で考えていることがわかると思います)。
<導入>
・「分割法」「包括法」の意味を、図などを使ってわかりやすく説明(大手塾では飛ばすかも)。
(深度1:わり算)15枚の折り紙を3人に配った。
「15枚を3人で分けるから15÷3=5。5ってどういう意味だっけ? 1人が受け取る折り紙の数だ」
(深度2:余りの処理)32人いて、3人ずつ車に乗ります。車は何台必要?
「32人を3人ずつだから、32÷3=10あまり2。車は10台…。ちがう! 2が余る。コレ、何? 2は乗れなかった人の数だ。もし車が10台なら2人残される。だから、11台だ」
(深度5くらい?:約数)36個のリンゴを配ったら、ピッタリ配れた。考えられる人数は?
「36個を配った…分けていったわけだから、36÷だけど…。÷のあとは、何? どこにも書いてないじゃん。あ、人数を〇人にしたら、36÷〇となるじゃん。で、問題文にピッタリ配れたとあるよね。割り切れたってことだから、36÷〇=△みたいにできるよね。これは見覚えがあるような…。あ、〇は36の約数だ!」
※未知数を使えるようにしておかないといけないので、深度をあげています。
(深度6くらい?:約数、余りの処理)27個のリンゴを配ったら、3個余った。考えられる人数は?
「人数を〇人としたら、27÷〇=△余り3。余り3はどうすればいいんだ? もし余り3がないとすれば…以下省略」
…こんな感じですかね。
公文式とはちがって、「わり算(余り)」をいろいろな角度で考えていることがわかるのではないでしょうか(深度5から約数も混ざってきています)。
ちなみに、暗記大嫌い、ついでに勉強大嫌いのわたしでも、数学がそこそこできたのは、この場合だと「わり算とは何か(余りも)」さえ深く理解しておけば、いろいろなタイプの問題を解くことができたためです。
※あくまで「そこそこ」です。もっと「上」のひとは、別次元の考えかたをしているかもしれませんので、あしからず。
公文式はあくまで計算だけ。受験算数とは別物
まとめると、公文式と中学受験の算数は、つぎのように別物です(一例です)。
・公文式:頭をほとんど使わない作業。作業の手順を覚える。
・中学受験の算数:1つのことをいろいろな角度から考える。思考力が必要。
というわけで、公文式を極めたところで、思考力はほとんど育たないと思います。
とはいえ、計算がすべての土台になります。
公文式は、(親からみれば)お手軽に、計算力を強化できるので支持されているのだと思います。しかも、(子どもによりますが)指導者なしで、子どもが勝手に勉強していきますし。
公文式はスゴイシステムだと思いますし、うちも、くもんの市販のドリルをよく使いますが、公文式で先に進めているといってドヤるのはどうかな、と思います。
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